沿革

東京農工大学農学部附属国際家畜感染症防疫研究教育センターは、2011年4月に設立されました。設立のきっかけとなったのは、 2010年3月の宮崎県での家畜の伝染病口蹄疫の発生です。口蹄疫は重要家畜伝染病で、蹄が偶数ある偶蹄類(牛、豚、山羊、羊)が感染する疾病です。感染 すると口の粘膜や舌、蹄に水疱が出来て、その痛さにより餌を食べることや歩くことが出来なくなり、肉もつかなくなります。また乳牛では乳量が激減します。 家畜と言われる主要な動物である牛、豚、山羊、羊が感染して被害に遭うため、畜産に与える被害は甚大です。また口蹄疫は伝染力が強く、風によっても運ばれ ると言われていることから、感染したと思われる動物を殺して、病気が伝染することを防ぐ方式が最初に取られています。このようなことから、2010年の宮 崎県における口蹄疫の発生では、288,643頭が殺処分され、直接的な損失額は2350億円にも上ったと言われています。そこで、口蹄疫等重要家畜感染 症の研究を口蹄疫の常在国である東南アジアの研究機関および大学と現場における必要な防疫対策予防法などの研究を共同で進め、国際的に先進的かつ有効な技 術開発を行うとともに、これらの疾病について知識を深めた人材を輩出し、そのことにより口蹄疫の常在地や流行地域などで、実践することにより近隣諸国(ア ジア)とともに国境を越えた感染症の発生を効果的に抑制できる体制を構築することを目的として、国際家畜感染症防疫研究教育センターが設立される運びとな りました。そこで、以下のような組織体制で、設立されることとなりました。  

センターの組織構成・事業内容

研究部門等事業内容
企画調整室国際関係機関との連絡調整、海外留学生の受け入れ
重要家畜伝染病研究部門口蹄疫などの重要家畜伝染病の防除法、予防法を中心とした研究、留学生への最新診断予防技術の伝達
伝染病疫学解明研究部門感染力が強く、国境を越えて広がる伝染病流行地の家畜の流通ルートや人の動きなどの研究・感染ルートの解明
家畜感染症経済分析学研究部門重要家畜伝染病が発生する農業経営形態の研究、発生時の経済的被害予測および経済支援方策の立案など、伝染病発生による経済被害を明らかにする研究
 

国際家畜感染症撲滅研究教育センターの部門別研究教育テーマと成果および社会貢献

 

国内外研究協力ネットワーク

  2011年4月より、企画調整員(コーディネーター)および専任教員等の公募を行い、現在は全ての人員がそろい、教育研究活動を行っています。 当初の設立目的は、口蹄疫の撲滅および侵入防止が大きな目標でしたが、家畜伝染病予防法の改正もあり、大学で口蹄疫をメインテーマにして研究活動を行って いくことは、かなり困難であることが明らかになってきました。そこで、現在は最終目標を変えないものの、家畜の感染症を主体に、ペットや野生動物を含め、 動物の感染症の診断・予防に関する研究を行い、我が国の防疫体制を強固なものにしようとしています。センターとしての建物はまだ設置されていませんが、岩 手大学との共同獣医学科も開始されているので、動物感染症全般について教育研究を行える機関として活動を行い、研究分野を広げています。