近年、動物から人間に感染する人獣共通感染症が問題になっています。感染症はウイルス・細菌・寄生虫などの微生物が体内で増殖することによって起こります。一方、私たちを取り巻く環境中には数多くの微生物が存在しています。食中毒、犬や猫などのペットの感染症、蚊やダニなどの吸血昆虫が運ぶ病原微生物、人間の腸内や皮膚や口の中にも数多くの細菌が生息しています。つまり、私たち人間をはじめすべての生き物は微生物と共存しながら生活していかなければなりません。 当センターは、微生物の性質を正しく知ることで微生物と正しくつきあえる、と考えています。そこで、微生物の検査を正しく速くおこなう技術を開発し、感染症の蔓延を未然に防ぐ体制を整えています。 当センターは、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫、植物に至るまで、すべての生き物に感染する微生物を対象に研究を展開しています。「家畜の感染症センターではないのか?」と疑問をもたれる方も多いと思います。すべての生き物の感染症は、食物連鎖などによっていずれは家畜に影響を及ぼし、最後は人間に及びます。このような理由で、この地球上のすべての生き物の感染症を研究することは重要であると考えています。もちろん、当センターに所属する研究者や学生だけではこの大きな課題は成し遂げられませんので、多くの大学や研究機関との共同研究をおこなっています。 感染症の研究を通じて、生き物すべてが活きる社会づくりへ貢献していきます。 センター長 水谷 哲也